■ 軽石を使う脱毛とは
若いころのことですが、家の風呂場に、石鹸と並んでいつも
置いてあるのは、軽石でした。軽石と呼ばれるだけでも奇妙
でしたが、石鹸のように丸くなった軽く、やわらかい石は
いつ誰が使うのでしょうと、私にはわからなかった。
そこで、ある日、誰が何に使うのか、母に聞いたことが
ありました。
そのとき、母は、いとも気軽にこう言ったのです。
「お母さんが使ってますよ。すねなどをこすれば、すね毛
が取れるから」ってね。しかも母は、「結構毛が抜けるから、
効果あるわよ」って、付け加えたのです。若かった私は、
女性でもすね毛なんかが生えるのかと驚きもしましたが、
何よりも、すね毛が取れるなら、自分のひげだって、取れると、
確信してしまったのですよね。言い換えれば、どうしても
ひげを薄くしたかったのです。
次の日、朝、登校前の時間に、顔を軽石で、こすってみました。
さほど痛くもないし、軽やかに肌の上を軽石がすべるので、
気持ちよくなって、だんだん力が入っちゃったのかな?
最初は軽くこすっていたのに、だんだん力が加わっていった
のは確かです。
その後、しばらくして手を止めたら、なんだか顔がひりひり
痛くてたまらない。もう、後の祭りですよね。真っ赤になった
私は顔は、熱を帯びて、腫れ上がり。もう、しばらくはお手上げ
状態で、外出も何もできませんでした。ひたすら冷やし続けた
のです。ひげを軽石で脱毛するなんて、とんでもありません。
ひげの毛根の深さは、すね毛とは大違いだからです。